『西洋絵画の父「ジョットとその遺産展』/損保ジャパン東郷青児美術館
2008年09月27日

『「西洋絵画の父「ジョットとその遺産展」~ジョットからルネサンス初めまでのフィレンツェ絵画~』
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
会期:2008年9月13日〜2008年11月9日
URL:http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

招待券を頂いたので観に行ってきました。
ジョットは西洋絵画の歴史みたいな人。
西洋美術史を学ぶ時、この人を避けては通れない。
すっごい人なんです。
で、どうだったかというと……。

私はやはり彼の作品は嫌い。
技法とか宗教とか、彼の作品を理解するのに必要な背景がいろいろあるのですが、
それを知ると、「ほー」と思うのですが、
やはり苦手です。

人物の表情が、上から目線というのか、まぁ、宗教画なので、観る人が敬いたくなるように描いてないと確かに困るのですが……。
キリストとか、「お前赤ちゃんのくせに、何故に上から目線っ」と、つっこみたくなる。
キリストを抱いているマリアの仕草も、決して母親の慈しみが感じられるものではないと思う。
私がイコンとして作品を観ていないからかもしれない。
けど、私が絵画作品を楽しむのは、イコンとしてではなく、楽しむため。
なので、ジョットは嫌い。

西洋宗教画が好きな方は、行くべき展覧会だと思う。
それ以外の人には…私は薦めないな。

『トレース・エレメンツ―日豪の写真メディアにおける精神と記憶』 /東京オペラシティ アートギャラリー
2008年09月21日

『トレース・エレメンツ―日豪の写真メディアにおける精神と記憶』
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:2008年7月19日〜2008年10月13日
URL:http://www.operacity.jp/ag/exh96/

上質で良い作品ばかりでしたが、特別感動したというのもないかな。
ちょっと変わっていて面白いなと思ったのは、ソフィー・カーンの作品。
面白いメディアではないと思う。
あと、アレックス・デイヴィス。単純で面白い。こういう作品、幸せになれて好きです。
志賀理江子、戦慄を感じた。
古橋悌二。ま、この人の作品に間違いないでしょ。

時間がある、またはメディアアートに興味がある方にはいいかも。

『ゴス展』/横浜美術館
2008年03月20日

『ゴス展』
会場:横浜美術館
会期:2007年12月22日〜2008年3月26日
入場料:一般1200円
URL:http://jiu.ac.jp/yma/goth/information.html

日本では、"ゴスロリ(ゴシック・アンド・ロリータ)"という一種のマニアックなサブカルチャーを示す言葉が良く使われます。"ゴス"とは"ゴシック"の略であり、本当は中世ヨーロッパの教会建築や絵画の芸術様式のことです。装飾華美な、時代によっては蔑視さえされていたこの様式を表す言葉が、現代、新しい概念を孕んだ傾向を表すキーワードとして使われています。
会場には、リッキー・スワロー、Dr.ラクラ、束芋、イングリッド・ムワンギー・ヒュッター、ピュ〜ぴる、吉永マサユキの6組のアーティストの作品が、それぞれ空間をしきって展示されています。同じ"ゴス"をキーワードに選ばれた作品ではありますが、全く作品の趣は異なります。どの作家の展示も、独自の世界観を追求しつつ、より内へ内へと突きこもる感があります。
「私が此処に存在している」。とてもシンプルなことですが、その存在の有り様について考えてしまいます。生きていることを実証するかのように、身の回りにあるであろう"死"の存在を強調したり、肉体、精神の改造や痛みにより、反逆的に"生"を感じようとしたり、存在の違和感を払拭を図ったり。ここでアーティストたちが作品を通して試している、自身の存在に対する問いかけが、そのまま観ている私たちにも響いてきます。
観終わった後、体がムズモゾするような、心地悪い気分になりました。"ゴス"というキーワードを通して作品を見なければ、これほどの身体に対する違和感は感じられなかったと思います。今時アート展と思いきや、意外とズシッと重い内容の企画展でした。

『光 -exhibition+performance-』
2008年03月16日

親サイト:gallery LOTTA で作品をご紹介している山崎阿弥さんの個展&パフォーマンスのお知らせです。19日に行なわれるパフォーマンスに、編み物オーケストラとして、私 シナ文も参加させて頂きます。唄いませんよ。踊りませんよ。編み物するだけです。たぶん。。。ちなみに、同じく作品を紹介させていただいているkozooさんも一緒です。皆さま、どうぞ遊びにきてください。

『光 -exhibition+performance-』
会場:東京都世田谷区(下北沢)
会期:2008年3月7日〜17日間
地図など詳細:http://hikariami.exblog.jp/

期間中のパフォーマンス予定
■3月18日(火)19時開演(18:30開場)\1000
 野沢英代(ダンス)×山崎阿弥(声) ⇒詳細
■3月19日(水)19時開演(18:30開場)\1000 
 編み物オーケストラ:
 山崎阿弥+クロイワユミコフ+島田梢+長坂敦子 (歌・声・編み物等)
■3月20日(木)19時開演(18:30開場)\1000
 千葉広樹(ベース、自作楽器)×山崎阿弥(声など)
■3月23日(日)23時開演 (どのような形で行うか未定です。事前の告知をご確認ください)
 小島ゆかり(詩)×山崎阿弥(声・言葉)
※右写真は、編み物オーケストラの打ち合わせに行った際のもの。久々の編み物。手がつる。。。

『六本木クロッシング2007:未来への脈動』展/森美術館
2008年01月13日

『六本木クロッシング2007:未来への脈動』展
会場:森美術館
会期:2007年10月13日〜2008年1月14日

美術には、美術自身が時代を反映し、変貌し続ける能力があるのではないか。
目の前に展示された作品は、芸術なのか美術なのか、アートなのかデザインなのか。捉えどころなく変身し続けるワンダーランドの入り口を覗いてきた気分になりました。

いまや観光名所の六本木ヒルズ内にある美術館、そして三連休の中日、最終日の前日ということもあってか、まずまずの客入りと、驚くような幅の客層。下のフロアでウルトラマン展をやっていることもあり子どもが多い。デートの若者から、アートな若者、おばちゃんから、観光客まで、様々なギャラリー。国も年齢も価値観も違う人たちが、目の前の「アート」作品を、これはなんじゃいと見ている。そんな周りの人の感想を聞いたり、反応をみたりするのも、これまた楽し。

フライヤーによると六本木クロッシングは、多様な日本のアーティストを紹介する展覧会で、今回で2回目。表現形態は絵画、彫刻、写真、デザイン、映像、演劇、マンガ、ゲーム、人形、ペンキ絵など様々で、36作家が4人のキュレーターにより厳選されています。現代の日本の創造性とその傾向を考察しつつ、過去、現代、そして未来へと脈動する日本のアートの可能性を探っています。

作品を観ていて感じるのは「わかりやすい」ということ。「芸術作品」として、難解な理屈をもって作品を解釈しようとすると、これ以上ない位「わかりにくい」作品となるのですが、同じ時代を生きる誰もかが共有している感情や感性、疑問や困惑の一部が、特化して表されているとすると、時に面白く、時に哀しく、作品を観賞することができます。反面、期待するような美的興奮や驚き、発見に欠けるのも確か。仕事(作品制作)に対する執着心や繊細さ、細かさに驚嘆はするが、それは美術作品に限らずあること。これらの作品が半世紀後、時代と若干のズレが生じてきた辺りで、「再発見」され「評価」されるのかしらと、複雑な気持ちで観てしまいました。
ただ、若いクリエーターなりアートに興味を持っている人たちが、食い入る様に作品を観て、体感しようとしているのが印象的でした。現在進行形の作品を集めた展覧会であればこそでしょう。
展示された作品以外に、演劇やパフォーマンスなどでの作品の発表もあったはずで、こちらを見逃しているのも、ちょっと残念です(チェルフィッチュは、違う機会にみていますが)。
ちなみに、私がこの展覧会にきて良かったと感じたのは、田中信行の立体作品を観たとき。黒漆が塗り込まれた、本当にオーソドックスな正統派の作品です。ただただ、涙がでるくらいフォルムが美しかった。ここだけ異次元でした。ツボをついてくる田中信一郎や、エンライトメントのクオリティの高い映像にも感心しましたが、こちらはどちらかというと、同じ業界(世界)で仕事をしている人間として、やられた感や羨ましさ、尊敬の眼差しでみてしまう。スゴいカッコいい作品だとは思うのですが。。。

前回の六本木クロッシングに比べると、作品数、作家、展示方法などが整理されていて、観やすかったです。前回は、途中で頭の中がいっぱいになり、ドロップアウトした記憶が。。。今回も観終わった後の疲労感はありましたが、これ以上でも、これ以下でもないボリュームで、丁度良かったです。
前回は、当時は最先端だったipodでの音声ガイドを借りての観賞だったのですが、今回は常に貸し出し状態で、聴けなかったのが残念。作家自身のインタビューや解説を聴くと、また違った視点から作品を鑑賞できるので。
次回の六本木クロッシングは、また3年後なのかしら。とても楽しみです。

『堀木エリ子の世界展』/そごう美術館
2007年11月25日

『堀木エリ子の世界展』-和紙から生まれる祈り
会場:そごう美術館
会期:2007年11月3日〜12月2日

和紙のもつ強さと美しさを実感できる展覧会です。

堀木エリ子さんは、約20年前に和紙を扱う会社の事務職に転職。寒い中作業をする和紙職人と低迷していく和紙の業界に衝撃をうけ、自らが制作に携わるようになった和紙アーティストです。その彼女の和紙という素材を愛する気持ちと、可能性を追求する姿勢に、ひとつのものに卓越した人間の強さを感じます。

堀木さんの作品の特徴に、竹ヒゴやワイヤーなど異素材を使わず和紙のみで立体フォルムをつくる技術があります。こよりのような和紙の骨組みと、丸く柔らかく固められた表面が、明かりでふわっと照らされると、その蚕玉のようなカタチに、懐かしい温かさを感じます。会場には、インテリアに近い壁面の装飾や、過去のイベントやコラボレーションで使われた作品がブースに分けて展示され、また和紙漉きの様子がインタビューを交えたVTRで見ることができます。

過去より継承した大切な伝統や日本の文化を、そのまま次の世代に引き継いでいくことも大切ですが、それに満足せずに、新たな発展を求め実践することは、簡単そうでとても難しいです。彼女が20年かけて開発した新しい和紙の可能性に感心しつつ、またこの後の20年が楽しみになりました。

『乾山の芸術と光琳』/出光美術館
2007年11月23日

『乾山の芸術と光琳』
会場:出光美術館
会期:2007年11月3日〜12月16日

光琳の作品の視点から乾山を見ることはよくありましたが、乾山サイドから光琳を考えたのは、初めてでした。兄弟がともに協力して商いとして作品を制作していたことがわかり、とても嬉しい気持ちになりました。

尾形乾山は、京都の呉服屋の三男として生まれ、光琳は兄にあたります。1699年、京都の北西に鳴滝乾山窟を開窟。闊達なカタチと筆さばき、色彩で独自の作風を確立します。この展覧会では、近年の窯跡発掘調査の全貌を初公開、今まであまり知られなかった、王朝趣味や異国情緒あふれる懐石器なども展示されています。

青年時代の写しから始まり、丁寧に乾山のもつ様々な側面、足跡を紹介しています。あ、こんなこともしているんだ。こんな器もつくっていたんだ。いろいろな発見があります。
しかし、タイトルについている光琳の存在が、乾山と同等には感じられないかも。。。
あくまで、乾山の作品に絵付けをしたりして、兄弟で協力し合って仕事を高め合ったのです…ということが、納得できる程度かな。プロデューサー、ディレクターとしての光琳よりも、兄としての光琳の存在を感じることができます。

見ていて面白いのは、「あ、この器、うちにもある」「この器は、バイトしていた小料理屋で使っていたなぁ」などと、今もその卓越したデザインが受け継がれているのに改めて気がついたこと。もちろん乾山自身も、舶来磁器や着物の図案など、様々なものを模似し、影響をうけているに違い有りませんが、それらが300年たっても変わらず私たちの食卓の上にあがっているというのは、素晴らしいことです。
これから300年後、まだ変わらず食卓の上に使われているのかな。引き継がれていくデザインの魅力に感じ入りました。

『児玉希望展』/泉屋博古館 分館
2007年11月23日

『児玉希望展』 特別展 -日本画と写生の世界
会場:泉屋博古館 分館
会期:2007年10月27日〜12月9日

スゴい人だった…。たまたま頂いた招待券を持って行ったための感想です。

児玉希望は大正から昭和にかけて活躍した日本画家です。20代半ばで帝展に入選し、地道に活躍し続けました。初期はダイナミックな構成でありながら、非常に繊細で緻密な作品を描いていましたが、晩年は大胆な筆使いの抽象的作品へと移行していきます(児玉自身は、それらもあくまで具象であると語っていますが)。

日本人の作家、特に日本画。
日本に住んでいるのだから、たくさんの作家と作品を観ることができるのですが、いまいち観賞の仕方・ツボがわからないというか、ピンと来ないことが多いです。
しかしこの作品展では、展示されている作品は、日本画から油絵、スケッチ、水彩まで多数あるのですが、どれもじっとみていると、作中から「音」が聞こえて来て、ちょっとしたトランス状態を味わえました。

例えば、「陽溜まり」という山に抱かれた浜辺に船が並んで係留されている油絵の作品。
あ、この山の森の色は、春なんだな。空も春の青さだ。船がぬくぬくしているなぁ。。。と観ていると、潮騒が本当に聞こえてきます。
「枯野」という秋草と狐を描いた屏風絵。秋風に薄の穂が揺れ、虫の音がなくなか、何かの気配を気にしつつ狐が歩く獣の足音。
私がいつか見た風景、または誰もかがもつ原風景のようなものが、描かれている気がします。

作風は本当に多岐に渡ります。
しかしどれにも、モティーフや風景がもつ存在感や気配、音や匂いが感じられます。
あー、来て良かったな。
しみじみ感じました。

『芹沢銈介の造形』/菊池寛実記念 智美術館
2007年11月23日

『芹沢銈介の造形』 - 色と模様
会場:菊池寛実記念 智美術館
会期:2007年9月29日〜12月16日

展覧会のタイトルの通り、美しい色と模様の造形にみとれてきました。

芹沢銈介は独創的なフォルムを描いた作家です。着物布などの図案に始まり、物語絵、装幀、字模様など、その活動領域は広範囲に渡ります。しかしどの作品も、「芹沢銈介だ」とわかる、のびやかなフォルムと鮮やかな色彩が、見る、そして使う人の心を不思議にとらえます。
彼の作品のフォルムは、身の回りの日用品であったり、食べ物であったり、自然であったりを、彼の眼のフィルターと、筆を通して独特な形状として生まれでたものです。これらは、モティーフを単純かして描かれているのではなく、その物ものが持っている本質を掬い撮り、あらためてカタチを与えられた結果であります。展覧会場を歩き観ていると、全ての作品中のモティーフが、ここにカタチを与えて表象された事に対して、嬉々としてその美しさとカタチの響き合いの合唱をしているような気がしてきます。

フォルムと色彩の響き合い。
空間のインスタレーション作品が現代は増えましたが、芹沢の作品には、作中にその緊張感が存在します。単純だけれども純粋なカタチとそこに与えられた色の生み出す面白さ、意外性、緊張感やときに喜びや和み、そんなんをみていると、もう泣きたくなってきます。
あー、私もこんなんなりたい。
しみじみ感じました。

『ベルト・モリゾ展』/損保ジャパン東郷青児美術館
2007年11月17日

『ベルト・モリゾ展』 -美しき女性印象派画家
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
会期:2007年9月15日〜11月25日

週に一度ぐらいの割合で、通りすぎていた『ベルト・モリゾ展』 の看板。特にその時はひかれなかったのですが、ある日購入した本に挟まれていた栞が『ベルト・モリゾ展』 の割引券でした。そこに描かれた青みがかった白のやわらかい濃淡と少女の姿にひかれて、観に行ってきました。

ベルト・モリゾといわれても、ピンとこない人でも、エドヴァール・マネの『すみれのブーケをつけたベルト・モリゾの肖像』をみれば、そのきりっとしたまなざしが印象的な彼女の姿を思い出す事ができるかもしれません。1841年に生まれ、1895年に亡くなったモリゾは、古典から近代へ西洋画壇が変革しようとしているその最中に、大胆な筆触や色彩、平面的な画面で印象派を牽引した作家です。当時では珍しい(タブー視さえされた)ブルジョア階級出身の女流画家でした。

印象派のもつ色彩の美しさはもちろん、モリゾの作品はどれからも「優しさ」が感じられます。
今回の展示作品が家族や近親者を描いたものが多いこともあるかもしれませんが、そこには画家がモデルをみつめる優しい眼差し、生命の喜びを感じることができます。これがモリゾが女性だからと結びつけてしまうのは、あまりに短絡的すぎます。しかし、荒い筆跡と塗り残しのあるキャンバス(未完成作も含む)から読み取れる画家の痕跡からは、モティーフのフォルムの表面を描くのではなく、モデルの内面より溢出する何かを色彩で再現しようとしているように見えます。
画家として活躍しながら、30代前半で結婚し、子どもを産む。愛娘ジュリーをモデルに描いた数々の作品。男社会の画壇で認められるための努力。現代の女子からみてもカッコいい。作品から溢れる充足感は、そんな彼女の生き方が現れているのかもしれません。

『ムンク展』/国立西洋美術館
2007年11月16日

『ムンク展』- The Decorative Project
会場:国立西洋美術館
会期:2007年10月6日〜11月30日

「『叫び』はないから…と伝えてくださいとのことです」
国立西洋美術館で働く彼女が、私のためにチケットと一緒に預けた伝言。
馴染みのお店でチケットを受け取ったときに、その伝言を聞いて、納得しつつも面白く思いました。
確かに、日本人にとって「ムンク=叫び」。「ムンク展」なのに、『叫び』がないなんて…。会場で、「『叫び』はどこですか?」と、観客に聞かれ続けているのかしら。
ちょっとワクワクしつつ、美術館へ行ってきました。

副題の 'The Decorative Project' が現すように、ムンクの作品における「装飾性」をコンセプトに企画された作品展です。
展覧会リーフレットに引用されている「〈生命のフリーズ〉は、全体として生命のありさまを示すような一連の装飾的な絵画として考えられたものである(エドヴァルド・ムンク「生命のフリーズ」より)」というムンク自身の言葉が示すように、ムンクは絵画制作を、作品1点1点切り離すのではなく、全体を包括的にみることで、大きな生命の流れを表現しようとしたようです。そのために、実現はしませんでしたが、ムンク自身の作品で構成された建築壁面の構想図が数多く展示されています。絵画はもちろん、壁面装飾用に描かれた下絵や、現存する建物の映像等が展示・紹介されています。
ムンクの作品には暗い不安や死の影がいつもまといついているように思われがちですが、実際には愛や生を主題にしたものが数多くあります。今回の展示では、普段あまり気がつかれないムンクの作品の表情を、包括的に作品をみるという展示方法により、十分堪能できることができました。ひとつの展示室の中心にたって、ぐるりと見回すと、そこに愛から孤独、生から死、女と男、ひとりの作家が考えた〈生命のフリーズ〉を感じる事が出来ます。作品同士が響き合い、「ムンク展」としてとても面白かったです。
『叫び』がなくても、十分に素晴らしい企画でした。

『メタルクラフト・コミュニケーション展』/桃林堂画廊
2007年11月12日

『メタルクラフト・コミュニケーション展』
会場:桃林堂画廊
会期:2007年11月6日〜11月12日

ものスゴい縁に呼ばれた作品展です。

作品展の「メタルクラフト」といタイトルの通り、金工作家4人のグループ展です。
出展作家は東北芸術工科大学にゆかりのある作家さん。ちなみに、私の母校でもあります。
作家の一人、佐々木里恵さんは、当ウェブギャラリーでも作品を紹介させていただいた空工房を主催している仙台在住のアーティストです。
佐々木里恵さんの作品はこちら

同じ大学卒業で特に同年代の作家さんの作品をみる度に湧くのは、「みんな頑張っているんだなぁ」という、羨ましいような、あせりのような、元気づけられるような、微妙な心地。
作品に残る作家の痕跡のひとつひとつに、その人柄と成長、形作られていこうとする個性に溢れ、さらに次の作品が楽しみになりました。

さて、展示会場になったのは、桃林堂青山店にある工芸画廊。
ここには、私が高校時代に一緒にデザインを学んだ友人が働いています。今回の展覧会の担当がこの友人で、出展作家の佐々木里恵さんとの話しの中で、偶然、私が二人の共通の知人であることがわかり、観に来ないかと声をかけてくれました。
すごい、世の中って狭い。ホント、悪さはできない…。

ちなみに桃林堂は和菓子屋さん。
もちろん、眼だけでなく、舌も楽しみます♪
小鯛焼は、普通の鯛焼きに比べると小さめ。でもしっかり餡が入っていて美味しかったです。
カボチャのカタチの生菓子は食べるのがもったいなくって、とりあえず写真に。
餡をとても大切につくっていらっしゃって、どのお菓子も、ほろっと甘くて美味でした。
ご馳走様でした〜。

『シュルレアリスムと美術』/横浜美術館
2007年10月08日

『シュルレアリスムと美術 イメージとリアリティーをめぐって』
会場:横浜美術館
会期:2007年9月29日〜12月9日


「シュルレアリスム」とタイトルだけみていくと、意外と展示作品の幅が広くて驚くかもしれません。

「シュルレアリスム」とは「超現実主義」ともいい、1920年代前後から始まった芸術概念です。美術作品として日本では、マグリットやダリの作品がよく知られています。今回の展示では、これらの代表的な作家の作品はもちろん、シュルレアリスムに影響をうけたその後の美術作品の傾向や流れがわかる構成内容になっています。
眼に見える「現実」の世界にとらわれる事なく、個々の作家の「リアリティー」を描いた作品一点、一点は、幻のようでもあり、鋭く世界をついたものでもあり、「みること」「みえること」「みえないこと」、視認性への疑問をなげかけます。写実性の秀逸さ、色彩のうつくしさ、構図の秀でた作品、技術的なすばらしさも感じますが、それ以上にどれ程のイメージ(世界)を作品が創出することができているか、それをどこまでギャラリーが観て感じとることができるかに、これらの作品の価値があるのでしょう。
また、誰でもわかる絵画、イコン的であったり、自画像や風景描写がメインだった美術作品が、自分の内面的なイメージをモティーフに描くことができるようになった大きく転機でもあります。作家は表現すること(方法)から自由に、観客は観ること(方法)から自由になれたきっかけでもあるでしょう。
あなたの「超現実」を探しに、観に行かれてはいかがですか?

『ルドンの黒』/Bunkamura ザ・ミュージアム
2007年08月17日

『ルドンの黒』
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:2007年7月28日〜8月26日

ルドンの黒はとても優しい。あらためて感じました。

本展は、オディロン・ルドンの作品のうち、黒色のみで制作をしていた初期〜中期の作品を紹介する展覧会です。素描や版画など200点のコレクションにより構成されています。

リトグラフ(版画)をメインに、黒一色で制作されたルドンの作品のモティーフは、どれも異形のモンスターばかり。黒=闇の世界に住まう者がたちが、粛々とした静寂の中に描かれています。
しかし観客には、その異形の者たちの世界が、とてもユニークに、時に親しく魅力的に感じられます。黒は全ての色を内包する色。闇の世界だと思ったのが、実は全ての世界の色彩を飲み込んだ多重色な空間であり、異形のモンスターは、私たちのすぐ隣にいる影のような存在なのかもしれません。

本展で面白かったのは、ルドンを多くコレクションしている岐阜美術館で制作された、ルドンの絵画をモティーフにしたアニメーション作品です。もともと物語性溢れるルドンのイラストレーションを、アニメーションにして動かしてみせてくれます。ルドンの世界感を壊すことなく、また、ルドンの初めて見る人にはより親しみを感じされてくれるような、なかなか良い出来になっているなぁと感じました。

ちなみに、最後の部屋には、色彩を用いるようになったルドンの作品が展示されています。
私はルドンの黒の世界よりも、色彩作品のほうが好きです。それは、例えば他の作家の作品が、色の上に色を重ねた作品に感じられるのに対し、ルドン色は、黒の中から色彩が発色して生まれてきたように、一色一色が発光してみえるからです。

予想以上に作品点数が多く感じられ、若干疲れた気もしますが…、最後の色彩の部屋で癒されて帰ってきました。

『サーカス展』/損保ジャパン東郷青児美術館
2007年08月04日

『サーカス展 解き放たれたイメージ』
会場:損保ジャパン東郷青児美術館
会期:2007年7月14日〜9月2日

街中で「サーカス」という文字をみただけで、楽しそうで、思わず飛び入りで観てきました。

サーカスをテーマにした主に近代の作家の作品が展示されています。ピカソからシャガールからレジェから…マチスまで。日本人がとても好きそうな作品の数々です。また国内の写真家のサーカスの写真なども展示されているのが目をひきました。

展示されている作品は、どれも無難に良いものばかりです。
作品以上にこの展示で興味をひかれたのは、空間の演出方法です。
どうしても広い壁にどどーんと作品を展示するのに終始してしまう美術館には珍しく、サーカス小屋のテントを模したエントランス部がまずワクワク感をそそります。
展示室でも目玉作品の前に、サーカースのお立ち台をつくったり、アンソニー・カロ(おそらく。うろ覚えです)の彫刻作品は、展示室内に小さなテント小屋をつくり、その中に展示したり工夫がされていました。
白と赤のサーカス・ストライプが、作品を邪魔する事なく、サーカスの世界を演出していて良かったです。
こんな展示に、小学校の子どもたちを連れて来てあげたいと、珍しいことを思ってしまう展覧会でした。

"IS BRITAIN GREAT?"/Paul Smith SPACE GALLERY
2007年05月25日

"IS BRITAIN GREAT?"
会場:Paul Smith SPACE GALLERY
会期:2007年5月26日〜6月24日
※Paul Smith 福岡店:2007年6月30日〜7月20日

タイトルの"IS BRITAIN GREAT?"の通り、「イギリス人ってそんなに偉いの?」とギャラリーに問いかける、ユーモアとシニカルが同居する写真展です。

Jan WilliamsとChris Teasdaleの二人によるこの写真プロジェクトは、小さな黄色いキャラバンが特徴です。
この小さな車に写真を展示して、イギリス国内を1,000マイル以上移動しました。
車内に飾られているのは、イギリスの日常すぎる風景。
いかにもイギリス人らしい仕草や、これがイギリス人!?と、目を疑っちゃうような理解不可能なシーンをおさめた写真です。
さらに、このキャラバン・ギャラリーを訪れた人たちに、アンケート調査を毎回行なっています。
質問内容は、シリアスなものからくだらないものまで。
今回の展示では、下記のアンケート結果が象徴的に使われていました。

アンケートをとったうち、
99%の人が生前葬を営むくらいなら死んだほうがましだと答えた。
17%の人が懸賞で肉が当たったと答えた。
30%の人が昇進が裸のところを見たと答えた。
18%の人が買い物先で隣人に会うと避けると答えた。
(Postmouth-The Caravan at Aspex Gallery "About Yourself"展より)

私が訪れたのは、ちょうどアーティストのギャラリー・トークの日です。
スライドで写真をみせながら、その写真を撮った背景や、状況をおもしろく説明してくれました。
「この二人だから、この風景が撮れるのだな」と納得してしまう、お茶目だけどちょっぴりシャイな、素敵な二人でした。

ちなみに、ギャラリートークのあと、軽食が振る舞われました。
もちろん、イギリスっぽいデリバリー・フードとエール。
残念ながら小雨が降っていましたが、野草が咲き乱れるテラスでとる食事はおいしかったです。

"Happy London"/Paul Smith SPACE GALLERY
2007年05月03日

"Happy London"
会場:Paul Smith SPACE GALLERY
会期:2007年4月9日〜5月13日

Paul Smith SPACE GALLERYは、ファッション・ブランド Paul Smithの路面店にあるフリースペースです。芝生のテラスが心地よい開放的なスペースで、ちょうど訪れた時は夕日と夕風が気持ちよかったです。

リリースによると本展では、"Happy London"をテーマに、ロンドンをベースに活躍する6人のアーティスト/イラストレーターの作品を展示・販売しています。またアーティストは、ポール・スミス本人によって選出されています。
どの作品も、ポール・スミスのブランドイメージと同じように、チャーミングでポジティブ、でもどこか一筋縄ではいかない毒をちょっともっています。ギャラリーに作品をみにきたというよりも、洋服を探しに来た時のわくわく感を、そのまま持続して作品をみることができる感じです。「この服をきたら、もっときれいに(かっこ良く)自分がみてもらえるかもしれない!」そんなポジティブ感を、どの作品も持っています。
このスペースに作品を観に来たのは今回が初めてですが、ポール・スミス好きとしては要チェックです。

『肉筆浮世絵のすべて』/出光美術館
2007年05月03日

『肉筆浮世絵のすべて』ーその誕生から歌麿・北斎・広重まで−
会場:出光美術館
会期:2007年4月28日〜5月30日

「浮世絵」ときいて、最初に思い浮かぶのが写楽や北斎の版画作品が多いのではないでしょうか。
ここで展示されている作品は、肉筆の作品のみです。どの作品にも、版画とは違う絵師の筆のさばきと細やかさが感じられます。屏風、掛け軸、絵巻物、などカタチは様々ですが、どれも版画とは違う奥行き感があります。また、江戸前期の作品から幕末まで、およそ200年に渡り栄えた浮世絵作品を通史で観る事ができる展示構成になっています。これにより、さまざまな作家、流派の個性に気がつく事ができます。
色が白くて富士額、目が一重切れ長でおちょぼ口。果たしてこれは美人なのだろうか…、と思わず今の感覚で観てしまうのですが、画中の人物の立ち姿、振る舞い、着物の組み合わせの素晴らしさに、はっとします。浮世絵に描かれた美人は、どれも気高く、芯の通った女性に見えます。そんな内面の美しさまで、絵師は描こうと努力していたのでしょう。

『横浜サウンドスケープ 2007 春』/横浜アーバンラボ
2007年04月30日

『横浜サウンドスケープ 2007 春』
会場:横浜アーバンラボ(北仲BRICK 101)
会期:2007年4月28日〜30日
徳井直生HP:http://www.naotokui.com/

横浜の都市模型を使ったサウンド・インスタレーションです。
入り口で、「光を照らした所の音がしますよ」と渡された懐中電灯。その先には、横浜のミニチュア模型。懐中電灯で海に浮かぶ船の模型を照らしてみると「ボ〜ッ」と汽笛の音が…。

リーフレットによると、会場になっている横浜アーバンラボは横浜都心臨海エリアの都市づくりを考えていくための施設。この都市模型もそのためにつくられたもので、横浜ポートサイド地区〜山下埠頭地区までを含む1/1000のサイズです。隣には、横浜の都市スケールを比較するためにNYマンハッタンの都市模型が。残念ながら、こちらは照らしても音はなりませんが、横浜の臨海エリアが広範囲であることに気がつきます。
さて音の方は、横浜の代表的なエリアに実際に行って録音してきたもの。照らすと反応する仕掛けはわかりませんが、横浜という都市が、様々なエネルギーに溢れ、活発にモノと人が行き来していることがわかります。「音」がみせてくれた風景を通して、新しい横浜に触れることができました。

『横浜写真アパートメント』/北仲WHITE
2007年04月30日

『横浜写真アパートメント』
公式サイト:http://www.terauchi-yokohama-project.jp/
会場:北仲WHITE
会期:2007年4月26日〜30日

会場の北仲WHITEは、2004年までオフィスとして利用され、その後2006年まで文化芸術活動に携わるグループが入居していたレトロなオフィスビル。この会場を利用して、今の横浜を撮影した写真家たちの作品が一同に紹介されました。

「横浜」は、大都市らしく非常にたくさんの顔を持つ都市です。また、撮っている写真家の視点、手法、技術も様々。大小さまざまなカタチの個室に展示された、様々な作品を観るごとに、こんな横浜もあるんだなぁと新鮮な驚きを感じます。
ただ、これだけの作家の作品を、それぞれのブース(個室)で観ると、その技術やプレゼンの方法を比較してしまう。作品の中身よりも、そこが巧いか下手かが気になってしまいました。しかも、インスタレーション的プレゼンの作家が多く(またはそれを前提に作品撮りをしているだろう作家が多く)、そのためか、ひとつの写真のクオリティが下がってしまっている気がしました。なんとなく、漠然と、ではなく、もっとシャキッとシャッターきれっ! と思ってしまうのは、私の勝手でしょうが…(しかも、私は写真を撮るのが下手です)。

I LOVE YOKOHAMA. WE LOVE YOKOHAMA. そんな言葉がしっくりくる展示でした。

『ART LAN @ ASIA アジアの新★現代美術!!』/ZAIM
2007年04月30日

『ART LAN @ ASIA アジアの新★現代美術!!』
会場:横浜創造界隈 ZAIM
会期:2007年4月21日〜5月13日

本展覧会は、ZAIMの開館1周年を記念した企画展です。イラク戦争開戦時の反戦活動「桃色ゲリラ」など、ちょっと過激で意表をついた活動を行うアーティスト 増山麗奈がキュレーターとなり、アジアを象徴する様々な現代アート作品が集められています。

「アジア」という世界的なキーワードでくくられていますが、そこには多種多様な人々が住んでいます。「アジア作家の作品」といわれると、「あー、アジア的」と思うのですが、その作品の根底に込められた思いを理解できているかというと、これがなかなか難しい。キャプションとかを読んで、改めて「なるほど」と頷いてしまうのです。日本人…というか私が他国を知らなさすぎるのか。。。ただ、表面的に作品ただけだと、日本の若手現代アーティストの作品と同じ雰囲気をもっているのは確か。これは現代のアート市場の傾向なのか、はたまたこれこそが現代を象徴した作風なのか。観者として求めたい楽しさと、アーティストが表現したい手法が一致するとは決して限らないけれど、あまりに説明的な作品、表面的な作品は、ちょっと観ていて引けてくることがありました。
その中で、リュウ・ウェイのドキュメンタリーや、ソン・フーロンの洋服を切られたマネキンたちには、途方もない恐ろしさ、絶望感を感じました。今の自分と最も遠いところにあると感じている現実を、いきなり目の前につきつけられた感じ。また、高嶺格のインスタレーションは、彼女から投げかけられた問いに対して、答えを得ようと模索している姿勢がとても美しかったです。この人は、非常にリアルな世界で、しっかりと生きている人だと感じられました。

何はともあれ、結構な展示数とアーティスト数。画廊でもないのに、これらを無料で観られるというのはかなり貴重。現代アートに興味のある方には、おススメです。

『IZUMONESIA展』アリタマサフミ/森岡書店
2007年04月28日

『IZUMONESIA展』アリタマサフミ
会場:森岡書店
会期:2007年4月19日〜5月5日
IZUMONESIA公式サイト:http://izumonesia.jp/

不思議なご縁でご招待いただいた『IZUMONESIA展』のレセプションパーティ。個性豊かな人の中、図と地・カタチの不思議な空間に漂ってきました。

アリタマサフミさんは、テキスタイルデザインを中心に活動する図案家です。ファブリックやアパレル業界でのアートワークはもちろん、世田谷ものづくり学校にかかわるなど、業種を超えた幅広い活動と交友関係をお持ちです。
今回の展覧会でも、招待状やキャプションの活字(活版)、ポストカードなどに使われている手漉きの和紙、室内に展示されている水引、織られたテキスタイル、木のフレーム、テキスタイルを表紙に使い装丁されたノートや絵本、豆本、そしてレセプションパーティで振る舞われたケータリング、パフォーマンスを披露した山崎阿弥さん etc... 細部に拘り、様々なクリエーターが参加して、ひとつの展示をつくりあげています。会場になったのは森岡書店は、和洋美術書を中心に扱う古書店。またこの書店が入っているビルは、築80年の昭和モダンを感じるレトロな雑居ビルで、窓の向こうには川が流れる。
素晴らしいクリエーターと、素敵な空間が揃った展示会+パーティでした。

展示作品は、アリタさんの図案が織られたテキスタイルや、ポストカード、装丁本、水引きなどです。展覧会のタイトルになっている“IZUMONESIA"は、造語で日本の「出雲」とひっかけたもの。洗練された図案(パターン)の中に、日本古来の土着的な力強さを感じます。図案の全体的な美しさ、連続した美しさ、そして図と地が織りなす関係、その狭間の空間をじっとみていると、様々なイメージが喚起され、そわそわ、ぞわぞわした気分になってきます。今までは、カタチの美しさ、色の美しさにしか注意を払っていなかったファブリックなどの図案の世界。その深淵に一瞬触れられた心地でした。。。

さてパーティでは前述のように、ケータリングと山崎阿弥さんのパフォーマンスがありました。
ケータリングは、今回の展覧会のコンセプトにあわせたドリンクとお菓子が振る舞われました。特に出雲大社をイメージした生チョコが並んでいる様は、とても可愛らしかったです。
また、山崎阿弥さんのパフォーマンスも美しかったです。展示されている作品が、世界を構成するひとつの要素(図案)だとしたら、山崎さんの声は、その一部(要素)を拾って私たちの前に"ぽん"と出してみせてくれている、そんな印象でした。とても洗練された時間でした。

最後に…、展示をするならばこうありたい!こうあるべき! と、勉強になる展示+パーティでした。参加させていただき、感謝です。

『日本を祝う』/サントリー美術館
2007年04月01日

『日本を祝う』
会場:サントリー美術館
日時:2007年03月30日→06月03日
料金:当日一般1,000円

行ってきました東京ミッドタウン、そしてサントリー美術館。
人人人………と思いきや、意外と美術館内は空いていました。

本展は、サントリー美術館開館記念展Ⅰにあたります。
リリースによると、祝祭性にあふれた5つのテーマで構成されています。おめでたい吉祥文様を集めた〈祥〉、季節感あふれる花鳥風月をデザインした〈花〉、文字通り祝祭や年中行事に焦点をあてた〈祭〉、歌舞遊楽を思い思いに楽しむ姿を描いた〈宴〉、文様や色彩のハーモニーを鑑賞する〈調〉。これら約150点の館蔵品が展示されています。
どれも、日本の伝統工芸品、絵画作品など技と贅沢をつくした作品です。ぱっとみた姿カタチの美しさはもちろん、じっくりディテールをみると、「こんなところまで、手をかけているっ」と驚かされます。魂をこめてつくられた品々が、大切に引き継がれ、今ここで私たちが観ることができる。モノを引き継ぐという行為は、人間がもっている素晴らしい特性だなぁと感じました。


ちなみに…右の写真は、サントリー美術館に併設されているカフェの不室屋パフェ。カフェは金沢の老舗「加賀麩 不室屋」が運営しています。和と洋、両方を兼ね、当然、サントリーのシングルモルトウイスキー「山崎」と「響」もあります。
さて、不室屋パフェ。残り一つだといわれて、思わず注文してしまいました。パフェを注文するなんて、何年ぶりだろう…。もちろん、おいしかったです。次回は、ランチタイムの限定30個のふきやお汁弁当が食べたいです。

『異邦人たちのパリ 1900-2005』/国立新美術館
2007年03月31日

『異邦人たちのパリ 1900-2005 ポンピドー・センター所蔵作品展』
会場:国立新美術館
日時:2007年02月07日→05月07日
料金:当日一般1,500円

行ってきました、国立新美術館。そこは、巨大なアートの箱でした。

本展は、すぐれた作品を所蔵するフランスの近現代美術館ポンピドー・センターの所蔵作品の紹介です。リリースによると、近代美術史を彩る著名な芸術家たちのほか、今もなお旺盛な活動を続ける中国や南米、アフリカ出身の現代芸術家たちの作品、約200点を紹介とあります。1900年前後より数多くの有名な芸術家が集まるようになり、芸術のまちとなったパリ。美術館やギャラリーが林立し、アートなまちに変貌しようとしている六本木に開館した美術館の最初の展示に、とても適した企画なのではないでしょうか。

展示されている作品は、素晴らしいものばかりです。一度はナマで観たいと思っていた作品を観ることができました。若干、人の多さには閉口しましたが…。
一連の流れで作品をみていると、戦争を境に雰囲気が変わるのを感じます。現代に近い作品であるほど、作品に含まれた社会へのメッセージを、鑑賞者も鋭く感じとることができるからでしょうか。また、どれも同じフランス(パリ)で制作された作品であるにもかかわらず、作家の出身国の気質や独自性を感じさせる作品になっています。これだけの多種多様な芸術家を育むパリの懐の深さに感銘をうけると同時に、日本もこの新しくできた美術館に展示する芸術家たちを国内で育て上げるための努力と支援を、今後してくれると望ましいなぁと感じました。

さて、戻って美術館。全部のフロアを見切ってはいないですが、想像していた程様々な施設があるわけではありません。巨大なガラスの箱の中に、コンクリートの展示室とカフェレストランが入っている感じ。このフレキシブルな空間で、様々なインスタレーション作品を展示してくれたら格好いいだろうなぁと想像してしまいました。今後さらなる企画が楽しみです。

グレゴリー・コルベール『ashes and snow』/ノマディック美術館 東京お台場
2007年03月11日

会場:ノマディック美術館 東京お台場
会期:2007年3月11日〜 6月24日
料金:当日一般1,900円

美術館へ行く前から、作品との対話が始まっていました。
金曜日に地下鉄でみた中吊り広告。少年と象が向かい合って座っている写真です。なんて美しい光景。頭の中を様々なストーリーが駆け巡ります。この写真の続きには何があるんだろう…。
展覧会は日曜日から。土曜日は、この作品がずっと気になっていました。こんなにワクワクして展覧会にいくのは久しぶりです。


序文によると『ashes and snow』は、写真作品、映像、美術装置、手紙形式の小説が一体となった、現在も進行中のアートプロジェクトです。大型写真芸術作品や60分の映画、2本の9分間の映像「俳句」により構成されます。セピアの色調が荘厳な雰囲気を醸し出し、特に手漉きの和紙に焼き付けられた写真は、見事なコントラストと幻想的な風景により、精巧に描かれた絵画作品に見間違えます。
ノマディック美術館は、『ashes and snow』専用の移動型美術館です。設計は、建築家坂茂氏。貨物コンテナで組み立てられた美術館の内部は、坂氏オリジナルの紙管に列柱が並び、神殿の回廊のようです。天井からつり下げられた写真の下には礫石がひかれ、作品の影を写します。
内部空間は自然素材なのですが、天井はビニールの膜、壁面は鉄の塊のコンテナなため、外気温を直にうけます。この日は風が強く、寒かった! もの凄い音で天井を風が通り抜け、60分の映像作品を見ている間に、つま先は寒さで感覚がなくなってくる…。膝掛けくらいあってもよいのではないかと思ってしまいました。。。
あわせて、音響が残念。反響して日本語の台詞さえ聞き取れない箇所がある。また、写真をみている時に、隣のブースで上映している映像作品の音楽がうるさくて、いまいち作品の世界にのめりこめない。神秘的な音楽がちょっと押し付けがましく感じてしまいました。もっと砂漠の灼熱や、潮騒、水の音、動物の鳴き声、そんな音を作品から観客自身が感じ拾える空間が欲しかったです。


ともあれクオリティは高く、とにかく美しい。美しくあるべきものを、美しく撮っている。地球礼賛的な作品にまとめず、繰り返される動物、そして人間(少年、少女、老婆、舞踏家)の沈黙と躍動に、人間が求める「美」の原点は、ここにあるのかなぁと感じました。
美術館自体が巨大なインスタレーション作品であり、観客はある男のストーリー(または夢)を、映像と写真で追体験します。そのため、ストーリーがわからないと、特に長い映像は退屈してしまうかも。事前にHPをみるのをおすすめします。

是非いろいろな方に観に行ってほしい展覧会です。遠方でいけない方も、ホームページで作品が観られるのでチェックしてください。
公式ホームページ:http://ashesandsnow.org/jp/
ちなみに…右の写真は、一時退場をしたときに手の平に押してもらった再入場用スタンプ。これも象と少年でした。



木村伊兵衛展『ヨーロッパ/中国』/写大ギャラリー
2007年03月03日

会場:写大ギャラリー (東京工芸大学中野キャンパス内)
会期:2007年2月1日〜 3月13日
料金:入場無料

 戦前・戦後の日本を代表する写真家 木村伊兵衛の写真展。1954、1955年のヨーロッパの作品と、1963〜1971年の中国の作品、37点により構成されている。

 報道写真ではなくスナップに近い視点で異国の日常生活を撮った作品。観ているとグッと引き込まれていく。写真からは、喧噪または静寂、空気感や人々の体温が50年という時を越えてにおってくる。1枚の写真が、フィルムのワンシーンのような重さを持っている。写真を細部にみてみると、背景までしかっりとディテールが撮れていることに驚く。しかしその細かさが、細密画のようなのっぺりとした平面になることなく、バランスよく観る側に情報とリアル感を与えてくれる。

 1枚の写真が持つことが出来る豊穣さ、そしてその写真と語り合う楽しさを堪能した。