2008年02月03日
新作能『麦溜 -モルトウイスキー物語-』/国立能楽堂
会場:国立能楽堂
会期:2008年2月3日
入場料:4000円〜
新作能とは、現代になってから新しく書きおこされた作品のこと。この能は、舞台はスコットランド、モルトウイスキーが誕生するまでを能に仕立てた、ちょっと異色な作品です。どんなアルコールよりも、モルトウイスキーが大好きな私にぴったりな作品。スコットランドが舞台なんて、どんな服装ででてくるのかしら? モルトの神様ってどんな人?? しかも、会場では振る舞い酒(モルトウイスキー)がある!! ドキドキ、ワクワクしながら観に行きました。
演目は3部構成。最初に能『乱』、次に狂言『素袍落』、休憩を挟んで『麦溜』。とても伝統的な形です。どれもお酒に因んだ題目ばかり。とっても簡単にストーリーを解説すると、『乱』は、お酒の大好きな妖精(神様)が、酒屋の亭主に感謝して、舞を踊り、褒美を与えるというもの。『素袍落』は、主の代わりに主の伯父さんのお家にいった家来が、伯父さんのお宅でしこたまご馳走になり、お土産に素袍を頂くのですが、その素袍を主に奪われたくないため、酔っぱらいながらも、帰宅途中で会った主から、必死に素袍を隠そうとする話し。最後の『麦溜』は、重い税金に耐えかねて、山奥でお酒をつくっている酒職人のところに老人(酒の神様)が現れる。そのお告げの通り酒をつくると、何十年後かに、また酒の神様があらわれ、お酒は香り高いモルトウイスキーになっているというお話。
会場に着いて、まず振る舞い酒を頂きました。お酒の銘柄は、イチローズモルトのギンコーでした。日本のシングルモルトをブレンドしたお酒です。そのせいか飲みやすい。外は大雪だったので、体もあったまって、お能をみることができそう。
『乱』は、少々迫力に物足りなさを感じたかな。それはお酒のせいか。。。あまり印象に濃くなく。『素袍落』は、面白かったです。やはり、能よりもわかりやすい狂言のほうが好きなのかも。声の張り、顔の表情、美味しそうな呑みっぷり、酔っぱらった時の滑稽な足取り。みていてテンポも良く、楽しかったです。
その後、30分の休憩。お酒は好きだけれど強くないため、飲むのは控える。その代わり、牛蒡とクルミの砂糖漬けを購入。ウイスキーに合うかは疑問でしたが、美味しかったです。
最後の『麦溜』。結論から言うと、話しがくどい。説明が多い。先に台本は読んでいたのですが。。。会場のお客さんも、配られた台本を見ながら台詞を追っていらっしゃる方が多かった。やはり、場所がスコットランドであるということ、時代背景を説明しなくてはいけないということ、モルトウイスキーの制作工程を説明しなくてはいけないこと、新しいからこそクリアしなくてはいけない事が多いのかもしれません。ただ、現代風に作っただけあり、台詞自体は現代の言葉使いに近くてわかりやすかったです。
それにしても、間狂言(一つの能の演目の間に入る狂言)、スゴかった。ながーい台詞で、上の3点、スコットランド・重い税金・モルトウイスキーの作り方、さらに今までの話しの流れを、ぜーんぶ説明してくれた。間狂言って、こんなんだっけと疑問に。。。それに、中国だかオランダだか、よくわからん衣装も疑問でした。
あまり良い印象がなかったように書いていますが…、最後にウイスキーが完成した時にモルトの神様が祠から登場するところは良かった。衣装が、ゴールドなのです。本当にモルト色。シテ(酒職人)の洋服も、金色のチェックに変わっていたし。あのモルト色の衣装には、ちょっとうっとりでした。
会場には、あまり普段の能楽堂の公演ではみかけない雰囲気のお客様も多かったです。これもお酒の力か。古い伝統を大切にしつつ、新しいことにチャレンジすることは良いこと。この『麦溜』が、今後もっと洗練されていくのが楽しみです。