『異邦人たちのパリ 1900-2005』/国立新美術館
2007年03月31日

『異邦人たちのパリ 1900-2005 ポンピドー・センター所蔵作品展』
会場:国立新美術館
日時:2007年02月07日→05月07日
料金:当日一般1,500円

行ってきました、国立新美術館。そこは、巨大なアートの箱でした。

本展は、すぐれた作品を所蔵するフランスの近現代美術館ポンピドー・センターの所蔵作品の紹介です。リリースによると、近代美術史を彩る著名な芸術家たちのほか、今もなお旺盛な活動を続ける中国や南米、アフリカ出身の現代芸術家たちの作品、約200点を紹介とあります。1900年前後より数多くの有名な芸術家が集まるようになり、芸術のまちとなったパリ。美術館やギャラリーが林立し、アートなまちに変貌しようとしている六本木に開館した美術館の最初の展示に、とても適した企画なのではないでしょうか。

展示されている作品は、素晴らしいものばかりです。一度はナマで観たいと思っていた作品を観ることができました。若干、人の多さには閉口しましたが…。
一連の流れで作品をみていると、戦争を境に雰囲気が変わるのを感じます。現代に近い作品であるほど、作品に含まれた社会へのメッセージを、鑑賞者も鋭く感じとることができるからでしょうか。また、どれも同じフランス(パリ)で制作された作品であるにもかかわらず、作家の出身国の気質や独自性を感じさせる作品になっています。これだけの多種多様な芸術家を育むパリの懐の深さに感銘をうけると同時に、日本もこの新しくできた美術館に展示する芸術家たちを国内で育て上げるための努力と支援を、今後してくれると望ましいなぁと感じました。

さて、戻って美術館。全部のフロアを見切ってはいないですが、想像していた程様々な施設があるわけではありません。巨大なガラスの箱の中に、コンクリートの展示室とカフェレストランが入っている感じ。このフレキシブルな空間で、様々なインスタレーション作品を展示してくれたら格好いいだろうなぁと想像してしまいました。今後さらなる企画が楽しみです。

アントニオ猪木酒場/池袋店
2007年03月21日

アントニオ猪木酒場/池袋店
東京都豊島区東池袋1-41-4 池袋東急ビル4F
公式HP:http://www.g-com.jp/inokifoodsbusiness/

プロレスは苦手です。もちろん、アントニオ猪木の試合を観戦したことはありません。猪木を知ったのは、ドリフのコントでした(加藤茶か志村けんか忘れましたが、かぶっているフィギュアのマスクをみて、こんなに顎の長い人がいるものかと、子ども心に驚きました)。今でも、「元気ですか」と「ダァー」「気合い」しか知りません。それでも、行ってきてしまいました。





「アントニオ猪木酒場」は、アントニオ猪木をコンセプトにした居酒屋です。
プロセス全盛期の昭和中頃の雰囲気をベースに、部屋の中心にはプロレスリングとカウンター席が設置されています。壁面を中心にアントニオ猪木ゆかりの優勝ベルトや写真、記念品が展示され、テレビモニターでは、もちろんアントニオ猪木の試合が放映されています。思わずビール片手に試合の模様に熱中しちゃったり、トイレに行ったまま、店内の展示に魅入ってなかなか戻ってこない子がいたりと、なかなか好反応です。ちなみに、店内に入る時は、エントランスで「ゴーン」とゴングを鳴らして「●名様、入場!」とマイクで案内されます。



フード・ドリンクの名前も、アントニオ猪木にちなんだものばかり。写真の「コブラ・ツイスト(うずまきウインナー)」は、30cmソーセージをグルット巻いてコブラにみたてたもの。かま首をもたげていますが、若干しんなりしていて元気がなさそうでした。。。

さらに生ビールは、サイズがグラス、中ジョッキ、Jrヘビー級、スーパーヘビー級まで。スーパーヘビー級は1リットルはいっていますが、結構皆さん飲んでいらっしゃいました。スゴい。グラスには、アントニオ猪木の似顔絵と「元気があれば、何でも飲める」というお言葉が。アリガタや。
ちなみに、「シャカシャカ 1・2・3・サラダーッ!!(オリジナルシーザー)」は、店員がお客のテーブルの前で透明な筒に入ったサラダをシャカシャカ振った後、「1・2・3・サラダーッ!!」のかけ声で、お皿の上にサラダをあけます。お客も拳をあげて「サラダーッ」と叫ばねばなりません。ただ、これでテンションがグっとあがることは確実です。

近年、こういうコンセプチュアルな飲食店が増えたなぁと感じます。これも飽食の時代の影響なのでしょうか。いや、確かに時代の影響はありつつも、飲食店というのは、そういうプラス・アルファな要素を受け入れやすい業態なのかもしれません。風俗が絡んだり(最近だとメイド喫茶とか)、サロン的な社交場になったり。今回のお店は、ラーメン博物館やカレー博物館、永田町 黒澤(黒澤明をコンセプトにしたお店)に近いのかな。「食」とともに発生した様々な文化や流行を見直してみるのも面白いかもしれません。

アントニオ猪木酒場、値段は普通の居酒屋なみです。料理のお味は…、まぁ雰囲気を楽しむということで。プロレス好きのあなた。会社の飲み会がいまいち盛り上がらないとお困りの幹事さん。是非、ご活用ください。ご予約を忘れずに。

『C'est Duckie de PAC!(うちら、クラブ★ダッキー!)』/国際芸術カーニバル[PAC]2007
2007年03月14日

会場:アサヒ・アートスクエア
日時:2007年3月14日19:00
料金:当日一般4,500円
国際芸術カーニバル[PAC]HP:http://pac-parc.org/2007/
C'est Duckie公式HP:http://www.duckie.co.uk/

みんな大好き! おバカなほど愛しい〜! と、ハッピーな時間をすごせました。

前日にGoogleニュースでみつけて、「なんだか面白そう」と、即座に予備知識なしで予約。仕事をわたわた片付けて駆け付けてみれば、入口でいきなり英語で話しかけられて、頭の中真っ白(席に案内するのに一人か、後から連れが来るのか聞かれた)。クラブ風の会場は金のクロスがかかった丸テーブルとイスが並び、レストランのよう。しかも「なんでみんな正装なの?」…。

パンフレットその他によると、Duckieは、イギリスのカンパニー。様々な訓練(いったいどういう訓練だ…)を積んだ俳優・ダンサーが集まり、ロンドンで活動を開始。サブカルチャーにも敏感に反応した、音楽やコメディの大衆的な形態を拡げて反逆的な作品づくりを展開。現在は、オリヴィエ賞を受賞した"C'est Duckie"の様々なバージョンを、世界各地でロングランとある。


"C'est Duckie"は、着席した観客が、テーブル上のメニューを見て演目をオーダー。支払いは、あらかじめ配られたダッキー・ドルで。公演中は、小さなステージ、観客のテーブル、会場のあちこちで、かなり際どいパフォーマンスが繰り広げられ、目が離せない。
わかりやすくいえば、ニューハーフ・ショウに近い。しかし、かなりウィットがきいている。出演者は、男女両方。英語が主なので、演目によっては、半分しか話していることはわかっていないだろうなと感じつつも全く問題なし。
メニューもとんでもないネーミングばかり。「ののしる体験」「ののしられる体験」「ブラッディ・マリー」「性転換手術実況中継」「ダービー実況」、若干うろ覚えですが、そんなのがずらりと。本日のオリジナル・メニューは、日本人のダンサーによるものでした(おそらく康本雅子だと思うのですが…違ったらすみません)。テーブルの上に出演者が突然のって片足あげたり、小さなテーブルの上で踊ったり、ののしったり、ののしられたり、大騒ぎ。


様々なジャンル(絵画、写真、アニメーション、舞台 etc...)のアートを観ていて、いつも楽しいなぁと思うのは、ウィットに富んだ世界を楽しめる瞬間。悪いことは悪い。滑稽なものは滑稽。それをシニカルに笑いにしてしまう力がアートにはあると思う。また、この笑いを共感できるから、世界は均衡を保っているのだなぁと思う。同時に、みた人が「楽しい!」と感じるには、壇上の出演者も「楽しいでしょ!」と盛上がっていることが重要。そして、そんなお馬鹿なことを一生懸命やっている人々が、とても愛おしい。演目によっては、出演者と観客が一体になってパフォーマンスを盛り上げていく。今日の嫌なこと、昨日の嫌なことが、だんだんにどうでもよくなっていく。見知らぬ人ばかりが集まったテーブルが、久しぶりに親戚が集まったような雰囲気になっていく。

最終日だったせいもあるのか、「ご招待」のハガキを持っていた人が多かった。私のテーブルは7人いたけれど、私以外みんな招待だと思われる…(私もしっかり学生料金だけど)。まぁ、ある程度観客が多い方が盛り上がる内容ではあるけど。さらにこのご招待関係者、英語が達者な人が多かった(おそらく、画廊関係、批評家関係、アーティスト、美術団体、ブリティッシュ・カウンシルつながりが大多数)。

今日が最終日なのが残念。また日本に来ないかな。ヒサビサに「やっぱり英語、勉強しなくちゃ…」と思いました。

グレゴリー・コルベール『ashes and snow』/ノマディック美術館 東京お台場
2007年03月11日

会場:ノマディック美術館 東京お台場
会期:2007年3月11日〜 6月24日
料金:当日一般1,900円

美術館へ行く前から、作品との対話が始まっていました。
金曜日に地下鉄でみた中吊り広告。少年と象が向かい合って座っている写真です。なんて美しい光景。頭の中を様々なストーリーが駆け巡ります。この写真の続きには何があるんだろう…。
展覧会は日曜日から。土曜日は、この作品がずっと気になっていました。こんなにワクワクして展覧会にいくのは久しぶりです。


序文によると『ashes and snow』は、写真作品、映像、美術装置、手紙形式の小説が一体となった、現在も進行中のアートプロジェクトです。大型写真芸術作品や60分の映画、2本の9分間の映像「俳句」により構成されます。セピアの色調が荘厳な雰囲気を醸し出し、特に手漉きの和紙に焼き付けられた写真は、見事なコントラストと幻想的な風景により、精巧に描かれた絵画作品に見間違えます。
ノマディック美術館は、『ashes and snow』専用の移動型美術館です。設計は、建築家坂茂氏。貨物コンテナで組み立てられた美術館の内部は、坂氏オリジナルの紙管に列柱が並び、神殿の回廊のようです。天井からつり下げられた写真の下には礫石がひかれ、作品の影を写します。
内部空間は自然素材なのですが、天井はビニールの膜、壁面は鉄の塊のコンテナなため、外気温を直にうけます。この日は風が強く、寒かった! もの凄い音で天井を風が通り抜け、60分の映像作品を見ている間に、つま先は寒さで感覚がなくなってくる…。膝掛けくらいあってもよいのではないかと思ってしまいました。。。
あわせて、音響が残念。反響して日本語の台詞さえ聞き取れない箇所がある。また、写真をみている時に、隣のブースで上映している映像作品の音楽がうるさくて、いまいち作品の世界にのめりこめない。神秘的な音楽がちょっと押し付けがましく感じてしまいました。もっと砂漠の灼熱や、潮騒、水の音、動物の鳴き声、そんな音を作品から観客自身が感じ拾える空間が欲しかったです。


ともあれクオリティは高く、とにかく美しい。美しくあるべきものを、美しく撮っている。地球礼賛的な作品にまとめず、繰り返される動物、そして人間(少年、少女、老婆、舞踏家)の沈黙と躍動に、人間が求める「美」の原点は、ここにあるのかなぁと感じました。
美術館自体が巨大なインスタレーション作品であり、観客はある男のストーリー(または夢)を、映像と写真で追体験します。そのため、ストーリーがわからないと、特に長い映像は退屈してしまうかも。事前にHPをみるのをおすすめします。

是非いろいろな方に観に行ってほしい展覧会です。遠方でいけない方も、ホームページで作品が観られるのでチェックしてください。
公式ホームページ:http://ashesandsnow.org/jp/
ちなみに…右の写真は、一時退場をしたときに手の平に押してもらった再入場用スタンプ。これも象と少年でした。



木村伊兵衛展『ヨーロッパ/中国』/写大ギャラリー
2007年03月03日

会場:写大ギャラリー (東京工芸大学中野キャンパス内)
会期:2007年2月1日〜 3月13日
料金:入場無料

 戦前・戦後の日本を代表する写真家 木村伊兵衛の写真展。1954、1955年のヨーロッパの作品と、1963〜1971年の中国の作品、37点により構成されている。

 報道写真ではなくスナップに近い視点で異国の日常生活を撮った作品。観ているとグッと引き込まれていく。写真からは、喧噪または静寂、空気感や人々の体温が50年という時を越えてにおってくる。1枚の写真が、フィルムのワンシーンのような重さを持っている。写真を細部にみてみると、背景までしかっりとディテールが撮れていることに驚く。しかしその細かさが、細密画のようなのっぺりとした平面になることなく、バランスよく観る側に情報とリアル感を与えてくれる。

 1枚の写真が持つことが出来る豊穣さ、そしてその写真と語り合う楽しさを堪能した。